*°春夏タチバナ*°
一瞬時が止まったように感じた
それほど静まり返って
誰も動かなくて
いや、動けなくて
でもその沈黙を破ったのは
春翔くんだった
「俺は恋なんかしねーよ
誰があいつに本気になるわけ」
「本当にそう思ってるの?
いい加減その女遊びやめれば?
見てても面白くないし」
秋くんがそういった瞬間
春翔くんの瞳孔が開いた
そして秋くんの胸ぐらをつかむ
「お前うざい」
「図星だからって俺に当たらないでくれない?」
ちょっと、これはやばいのでは…?
そう思った時には遅くて
春翔くんが秋くんに向かって拳を振り上げた
殴る!!!
そう思ったすぐあと
────ぺちっ
そんな小気味いい音がした
そう、秋くんが一瞬で避けて
一瞬のうちに春翔くんのおでこにデコピンしたのだ
「くそ」
「まだ俺のが強かったね〜」
そう言って悔しがる春翔くんと
微笑む秋くん
何なの一体…
一瞬でなんだか凄いことが起こったよ〜!