*°春夏タチバナ*°




屋上には心地いい風が吹き抜ける
秋はやっぱりいいなぁ♪





そんな呑気なことを思いながら夏那ちゃんを見ると
どうしていいのか迷っている様子











「夏那ちゃん、大丈夫だよ♪
夏那ちゃんには私がついているから♪」






「冬羽…ありがとう…
私ね、悩んでることがあってね」











無理に聞こうとは思わない
だから夏那ちゃんが話し出すまで少しの間沈黙が落ちる






その沈黙は重たいけど
私には大切な時間に思えるんだ











「私、今彼氏とね…」











夏那ちゃんは決心したように話してくれた






祭りの時からすれ違っていること
昨日、なんなら別れないか?って言われたこと






でも夏那ちゃんは大好きだから別れたくないと言った




でも、由さんは曖昧な答えしかくれず
今日になってしまったと…











「別れたくないの…
すごく大切だから…」






「そ、そうだよね…」











付き合ったことのない私にはわからないこと





でも、何かの役には立ちたいの
だから必死で考えるけど




出る答えは、わからないばかり…











「もう由がわからない…」











そう言うと夏那ちゃんは泣いてしまった





とても辛そうに
とてもしおらしく



とても女の子らしい泣き方で…






こんなに可愛い夏那ちゃんを苦しめる由さんがわからない…









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