*°春夏タチバナ*°
「どうして冬羽と話さないの?
話さないくせになんで優しいの?」
冬羽の名前を出していいのかは迷ったけど
ここまで来たら出しても変わらないと思うし…
秋くんがそんなことで冬羽ともっと険悪になったら私が全力で諦めさせる
そんな思いを胸に疑問をぶつけると
秋くんは無表情だけど困った顔になる
「振ったのに期待させるのはダメだと思うから
でも、もし俺のせいで泣いたなら、それは俺のせいだから優しくするよ
誰だってそうでしょ」
「でも…冬羽は本当に秋くんが大好きなんだよ?
話しても期待なんてする子じゃない…」
「それは、自意識過剰じゃないけどわかってる
だからこそだよ」
「だからこそ?」
わかっているならいいじゃん
私はわけがわからなくて首をかしげて聞き返す
「本気で好きで、それで頑張って話しても振り向いてもらえないなんて辛いだけだよ
だから、余計に話せない
同じことは繰り返せない」
「同じこと……?元カノさん?」
気持ちの差があって別れた元カノさんのことだろう
私の言葉には曖昧にしか笑わなかったけど
そうだと思う