石田先生、忍者になるの巻
ボクの名前は塚田雅喜(ツカダマサキ)。忍びに成り立て1年生だ。成り立てといっても、まだまだ修行の身。今日も忍者ショーのスタッフとして、音声と照明を担当する。これも立派な修行なんだ。
「おいツカ‼︎これ片付けとけ‼︎」
1番下っ端のボクは、雑用に追われる毎日だった。
舞台に転がっているクナイを手に取る。
ショーといえど、その刃は本物の光を放つ。両手に握りしめ、構え、舞台の中央で舞う。まさに舞い踊るのだ。
観客の拍手喝采が聞こえてくる。
それらに一礼して___‼︎
背を反らせて、向かってきた手刀をかわした。
「なかなかやるじゃねーか」
忍びの中でもトップの中原さんが、にんまり笑っている。
「ツカ、お前も下っ端じゃなくなったぜ。こいつは今日からお前につける。教育してやれ」
「はい‼︎」
きびきびと頭を下げた。
このボクが教育係。ようやく少しだけ前進したかもしれない。でも過信しちゃダメだ。教えながらボク自身もまた一から学ぶんだ。そうやってまた忍びの___。
「手裏剣、投げたいんだけど?」
「は?」
「だからぁ、シュ・リ・ケ・ンーっ‼︎」
これがボクと石田先生の出会いだった__。