石田先生、忍者になるの巻
今夏、最後の花火はいかが?の巻
城が燃えている。瓦礫に埋もれた魂はやがて、尖った芽となろう。そこに咲き誇るのはさしずめ、白梅。枝垂れた梅が思い起こすのはそう、家紋。代々受け継がれた家訓が鮮明に蘇る。記憶を辿ると、刀の刃先から滴り落ちる血が、一滴、また一滴と土に溶けていく。鐘を鳴らせ。討ち入りだ。門を閉めろ。陣を取れ。そして盾となるのだ。なにが心の臓を貫いたとしても、決して引くでない。血の壁となって敵を阻むのじゃ‼︎
「先生、火遁の術、やりましょうか?」
「えっ、マジ⁉︎」
「ずっと覚えたかったんですよね?」
「そりゃそうだけど__この後、塚田クンが病で倒れるとかない?寝覚め悪いのだけは嫌なんだけど」
「大丈夫ですよ。こう見えて健康優良児ですから」
「じゃ、雷が落ちてくるとか?」
「それも覚えないといけないですね」
「なら、この夏の終わりに雪が降る?」
「それはまた風情がありますね」
「あ、わかった。一気に敵が攻め込んできて、あんまりにも急だったからいっぱい殺られて、塚田クンが捕まっちゃって、今まさに刀で斬りつけられようとするパターンのやつじゃない?」
「そんなバカな話。それに簡略化し過ぎかと…」
「敵だー‼︎奇襲だー‼︎」
忍者村に鐘が鳴り響く。
あとは、一気に攻め込んできて、あんまりにも急だったからいっぱい殺られて、ボクは捕まっちゃって、今まさに刀で斬りつけられようと___。
「ワン、パターン‼︎」