秋麗パラドックス
また再び、周りが騒がしくなっていて。
そちらの方に向けば、…―――思わず、逃げたくなる衝動に駆られる。
そこには、懐かしい人の姿があった。
『え、八神?!』
『何で八神が…』
なんて声が聞こえる。
私、疲れてるのかな。
だから、これは夢だって。
そう、思いたかった。
でも、その周りの声によって、ああ、これは夢じゃないんだと、現実だと突きつけられる。
けれど、そんな周りの声には反応しない“彼”。
そして、何かを、…誰かを捜しているようで、辺りを見渡していて。
何で、と思った。
私はここに来て、見せつけられなければならないのだろうか。
“彼”と萩原さんの関係を。
そしてそれと同時に、あの日々を鮮烈に思い出す。