秋麗パラドックス






また再び、周りが騒がしくなっていて。
そちらの方に向けば、…―――思わず、逃げたくなる衝動に駆られる。

そこには、懐かしい人の姿があった。



『え、八神?!』
『何で八神が…』

なんて声が聞こえる。


私、疲れてるのかな。
だから、これは夢だって。

そう、思いたかった。
でも、その周りの声によって、ああ、これは夢じゃないんだと、現実だと突きつけられる。


けれど、そんな周りの声には反応しない“彼”。

そして、何かを、…誰かを捜しているようで、辺りを見渡していて。


何で、と思った。

私はここに来て、見せつけられなければならないのだろうか。
“彼”と萩原さんの関係を。


そしてそれと同時に、あの日々を鮮烈に思い出す。






< 18 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop