秋麗パラドックス





『徹!』

『どうした?』

『明日、遊園地デートするって言ってたのに、雨降るんだって!』



何でよりによって明日なの!と言えば、仕方ないよなと言う徹。

場所よりも、私と一緒にいることの方が通るには重要だったと言うことは分かる。
けれど、私は楽しみにしてたから。

だからそんな冷めた徹の態度に、私はよく言っていた。
『もっと感情的になってよ!』と。

それが今では、私の方が冷めてる。



「それに、…萩原さんだっているのに」

「…何で優里がいるんだ」



私のこの声に、彼は彼女がこの場にいることを知ったようだ。

“優里”
彼の口から出た、彼女の名前。

それが、彼と彼女の親密さを物語っているように思えた。


婚約者だから仕方がないのかもしれないけれど。



「いいじゃない、いたっておかしくないでしょ」



『私は、菊池さんと同じクラスだったんだから』と言う萩原さん。
尤もな意見だ。
逆に、クラスが違う彼がいる方がおかしな話なのだ。




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