秋麗パラドックス
もう一度、自分の心に問いかける
私の気持ちも知らないで、今更現れて。
何がしたいのか分からない。
分かりたくもないけれど。
徹も、萩原さんも、小春も。
みんなみんな、身勝手すぎるのよ。
私は苛立ちを隠せなかった。
笑い事じゃ済まされない。
『私は別の人と結婚するから』なんて、罪滅ぼしのつもりなのだろうか。
そんなの、素直に喜べるわけない。
また、同じような状況になってしまったらどうしてくれるの?
また私は捨てられなきゃいけないの?
そんなの、まっぴらご免よ。
それに、“彼”は私が出て言ったからって、追いかけて来てはくれない。
これが、どういうことかを表していると思った。
それっぽっちの気持ちだったんじゃない。
動揺して、少しでも揺らいでしまった自分がバカみたい。
私は自分で自分を罵った。
もう、何年前の話なの。
イケメンで、医者で、女の子が憧れるものをすべて兼ね備えている彼が、女に困っているわけがない。
私にこだわらなくたって、望めば我こそはと言う人なんてたくさんいることだろう。
私じゃなくてもいいんだよ。