秋麗パラドックス
そんな私の動揺を見逃さなかった小春。
小春は、『後悔、したくないなら言った方がいい。ちゃんと話をした方がいいよ』ともう一度言った。
それでも私は動けずにいた。
どうしても、体が言うことを聞かなかった。
「奈瑠」
「…私は、」
くよくよしたって、どうにもならない。
そんなことちゃんとわかってる。
うじうじするな、ちゃんと行動しろ。
…後悔、したくないでしょう?
私は自分の中に問いかける。
伝えたい思いがまだ、この胸の中にあるんじゃないの?
私は、小春に向かって、『ありがとう』と言って走り出した。
突然の私の行動に驚きを隠せなかった小春だけれど、『頑張れ』と言って送り出してくれた。
…そうだ。
まだ、あの日は終わっちゃいない。
あの日の続きを、今。
ちゃんと、終わらせよう。