秋麗パラドックス





『…奈瑠』



徹の顔が、私に近付いてくる。

―――キス。
けれど私は、避ける。



『ごめんね、徹。…もう、ダメだよ』



その唇は、声は、視線は。

―――もう、私のものじゃない。


最初のキスから、最後のキスまで。
覚えてるよ、ねえ。

私、どうやって生きていけばいい?

そして、避けた直後の徹の顔。
きっと私は一生忘れない。



『ばいばい、徹…』



私は徹から離れて、走って帰っていった。





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