秋麗パラドックス
あの日と同じ紅たち
随分と長いこと電車に揺られて、行きついた駅。
昔と何ら変わっていない駅に、懐かしさを感じる。
駅から出て、噴水の前を通って、懐かしい道のりを歩いていく。
三年間制服を着て通った道のりはとても懐かしくて。
所々田んぼだった所に新しい家が立っていたり、年季が入った八百屋さんが潰れていたりと、変わっている部分も多くあったけれど、どちらにせよ私にとっては青春の道だった。
五分ほど歩いていれば、学校が見えてくる。
春には桜が咲くこの並木通りには、秋を感じさせる紅葉が舞っていた。
「奈瑠!」
「久しぶりだね、小春」
今日は高校の同窓会だ。
行く予定なんてなかったのに、この高校時代の大親友・小春に『絶対に来い!』と言われてしまい、参加することになってしまった。
重たい足を引きずりながら、集合場所である母校に着くと、待ち構えていたのだろう小春が案の定いて。
『会いたかったよ!』と言う。
そんな小春に懐かしさを覚えたのは言うまでもない。