長い片想い
バスケ馬鹿
朝の日差しが窓から差してくる。
まだ誰もいない廊下を駆けて行くと、どこまでも足音が響き渡る。朝練の時間までにはかなり余裕があるが、はやく体育館に着こうと足が自然に早まってしまう。
入り口からはボールがバウンドと靴から出るゴムの擦れる音が聞こえてくる。
だって、そこにはアイツがいるんだもの。
息が切れたのを整えようと、ドアを前にして深呼吸する。
よし、大丈夫
勢いよくドアを力一杯に引いた。
「おはよう!徹。今日も早いんだね」
そいつは服の袖で汗を拭きながら、日差しなんかより眩しい笑顔を向けてきた。
「おう。小百合か、おはよう」
このひと時が私の一日で一番好きな時間。
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