空の愛し方
苛つく。
誰にでも甘えやがって。
お前が見るのは俺だけでいいってのに。
「でも、あいつは何も言ってくんない。きっと変なんだ。」
木陰に腰を下ろした俺を指差し、見方を付けた彼女は怒りを露わにする。
「素直じゃないんだよ。」
仲間の一人が、からかう目で俺を見て言った。
「うるせぇ。」
呟いた俺の言葉は完全に無視され、彼女と仲間達は楽しそうに喋りだす。
苛つく。
笑うな。
喋るな。
彼女が、いつもと違う事くらい気付いてる。
それが、彼女の愛らしさを更に引き立てている事も、気付いてる。
でも、言わない。
いや、言えない。
俺が簡単に言えないくらい、彼女は輝いているから。