空の愛し方

 その美しさを強調するような物を使うな。

 俺以外の男に言葉を貰うな。



 俺は空なんかじゃない。
 偽物の空に、お前はとっくに追い付いている。
 もう、偽れない。


「好きって言って。」

 彼女を手離せない。
 彼女の血塗られた唇を見て眉間の皺が深くなる。
 小さく舌打ちして、勝ち誇った彼女の瞳を見る。

 降参の言葉を伝えるために。


 
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