何度だって咲かせよう(仮)
*
放課後、校門を出ると芽依子はハァーとため息をついた。ようやく学校から、あの視線の数々から解放されたからである。
「ほらほら芽依子、そんなため息ついたら幸せ逃げちゃうぞ〜!!」
隣から京香が出した空気を戻すかのように芽依子の口元に手を置く。
「だって、あんな注目されるの慣れてないし」
前を歩いている司が振り返る。
「悠馬も藤田ちゃんも目立つからね〜学校中で噂になって大変だ!」
笑いながら言う司に対し、他人事だと思って…と苛立つ芽依子。すると突然京香は
「私、行きたいお店があるの!この前雑誌に載ってたカフェなんだけど、芽依子と行こうって話してたんだ〜!」
と三人に声をかける。
「俺はそういうの好きだから平気」
「桜田くんって甘いの好きなんだ!じゃあ決定〜」
「え?!彼氏の俺の意見は聞いてくんないの??!」
「はいはい、司くんうるさいよ〜」
京香は司の隣を歩く。気づけば司は京香の手を繋いでブンブン腕を振っている。突然始まったこのカップルのイチャつきはいつものこと。といっても司のかまってアピールにすぎず、それを分かってる京香は適当にあしらってる。しかし、お互いが想いあってることを悠馬にも芽依子にも伝わってくるのだった。