何度だって咲かせよう(仮)
水族館までは電車で一時間ほどだ。電車はすいていて二人とも座れた。芽依子は悠馬に気になっていることを聞いてみた。
「…桜田くんは「悠馬」」
「え?」
「悠馬って、呼んでよ」
「…悠馬、くん」
芽依子がそう言うと、悠馬は満足そうにしている。
「なに?」
「悠馬くんは、どこに住んでるの?ほ、ほら、毎朝迎えに来てもらってて大変じゃないかな〜って」
「…家は隣駅の近くだから気にすんな」
悠馬は「時間もあるし、寝るな」と言って目を閉じてしまった。さっき悠馬の顔が少し曇ったような気がしたが、芽依子にはこれ以上突っ込むなと言われているように思えて、もう聞くことはできないと思った。