何度だって咲かせよう(仮)
「わ〜、きれい…」
あれから二人とも寝てしまい、目的の駅に到着する直前で起きた。寝起きで少し頭が回らなかったが、水族館の中に入ればそんなことは忘れてしまう。
この水族館は前からあるが、去年リニューアルし、プロジェクションマッピングを展示に取り入れたことでより有名になった。
(話には聞いていたけど、魚と光のコントラストもきれい…)
気づけば結構進んできてしまっていた。隣を見れば悠馬の姿がない。久しぶりの水族館で少しはしゃぎすぎたと芽依子は思ったが、悠馬は後ろから見守るように着いてきてくれていた。
(悠馬くんといると、なんだか懐かしく思うことが多い…)
「少し休憩する?」
悠馬から声がかかる。ちょうど休憩スペースが近くにあり、そこで休憩することにした。
「なんか飲みもの買ってくるよ。何がいい?」
「じゃあ、オレンジジュース」
「オレンジジュースって…子どもかよ」
フフッと笑う悠馬。
「だ、だって一番好きなんだもん!」
「はいはい、買ってくる」
口を尖らし恥ずかしさを隠す芽依子。大人っぽいと形容される芽依子だが、性格は子供っぽいと京香からも司からも言われていた。
「変わってないな」
自動販売機に向かいながらそうつぶやく悠馬の声は周りの音にかき消される。