何度だって咲かせよう(仮)



「悠馬くん、これ…」

昼休み。予定通り、京香たちとは別々に過ごす。その旨を悠馬に伝えたところ、体育館裏に連れてこられた。人も来ないが、ベンチが置いてあり悠馬のとっておきの場所だと言う。お弁当を食べ終え、ここで芽依子は悠馬にブラウニーを渡した。

昨日京香と一緒に作ったものだ。朝登校してきたときから、悠馬はたくさんのお菓子を渡されていた。でも悠馬は絶対に受け取らなかった。芽依子はそれを見て、自分が受け取るのは芽依子のものだけだという意思表示のように思えた。

「さんきゅ。開けてもいい?」

「あ、うん…おいしくなかったら、ごめん」

「そんなことないだろ。芽依子はお菓子作り得意じゃん」

包みを開けながら悠馬が言う。

(ん?悠馬くんにお菓子作ったこと、ないんだけど…)

悠馬が転校してから友達にあげた記憶もないと考えていると、「お、ブラウニー!」とうれしそうな声が聞こえ、思考が止まる。

「うまい、俺ブラウニーが一番好きなんだよ。ほんと、ありがとう」

「そうだったんだ。悠馬くんに喜んでもらえてよかった」

にこにこしながら、うまい、うまいと食べる悠馬がとてもうれしかった。

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