何度だって咲かせよう(仮)
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霧のようなものが立ち込める中、家のリビングに芽依子はいた。
(ここは、私の家…?でも少し新しいような…)
芽依子の前には二組の若い男女がいる。どうやら夫婦らしい。大人は談笑している。
すると、肩をトントンとたたかれた。振り返ると幼い男の子が一人。
あげると言って渡されたのはペンギンの折り紙。それに見覚えがあった。以前部屋の掃除をしていたときに見つけたものと色も折り方も同じだった。不器用な自分には折れないのに、どうして持っていたんだろうと思い出せなかったがこの子からもらったのだろう。
ありがとうと言おうとすると、突然辺りが揺れ始めた。地震だとわかったとき、「芽依子!」と呼ばれ、目を覚ました。
目覚めた芽依子を悠馬は心配そうに見つめていた。
「大丈夫か?少しうなってた」
呆然としている芽依子を悠馬は苦しそうに見つめる。そして、親指で芽依子の涙をぬぐった。無意識に泣いていたようだった。
「あ、ごめん…」
「無理、すんな。なんかあったら俺に言え」
「ううん、なんでもないの…」
「もう昼休み終わってるし今日はここでサボろうか。芽依子が落ち着くまでここにいよう」
「うん、ありがとう」
悠馬は芽依子の頭を自分の肩に引き寄せ、ポンポンとする。芽依子はそれがとても安心した。