何度だって咲かせよう(仮)
そっか、と言い司は続ける。
「藤田ちゃんがどうしてもって言うなら仕方ないんだけど…あいつ、親と暮らしてないみたいなんだ」
「え…?」
「俺も詳しくは知らないんだ。一人だと大変だろうからさ、藤田ちゃんに行ってほしい」
芽依子はどうすればいいか、わからなかった。悠馬のことを何も知らない自分は、悠馬にとってどんな存在なんだろう。
でも、芽依子は悠馬のことが心配だった。悠馬がどう思ってようと、芽依子は悠馬が好きだから。
「わかった、帰りにお見舞いに行ってくる。悠馬くんのこと、心配だから」
芽依子がそう言うと司は微笑んだ。
「ありがとう。地図書くから、ちょっと待ってて」
司は地図を書いた紙を四つ折りにして、芽依子に渡した。
「はい!駅からそんなに遠くないからすぐわかるはずだよ」
「中村くん、ありがとう」
芽依子がメモを受け取ると京香が登校してきて、ポケットにしまい、そのまま開くことなく放課後になった。