何度だって咲かせよう(仮)
「え、芽依子…?」
「あ、悠馬くん…」
「どうしてここ…」
「な、中村くんから具合が悪いって聞いて、お見舞いにきたの」
そう言って買ってきたものを見せる。
「そうか…ありがとうな」
「うん、具合大丈夫なの?」
「いや、まだ熱が下がんなくて」
「え、じゃあ寝てなきゃ!」
芽依子は悠馬をグイグイ押して部屋に戻す。悠馬がベッドに戻ったところで必要なものがないか聞く。
「なんか食べるもの買いに行こうとしてたんだ。今何にもなくて」
「一応ゼリーとか買ってきたけど、食べる?」
「食べる…」
「わかった。じゃあ持ってくるね」
芽依子は買ってきたゼリーとスプーンを取りに行き、悠馬に渡した。
食べ終わった後、テーブルに置かれていた薬を飲ませ、熱ピタを取り替えた。熱はかなり高そうだ。
「芽依子の手、冷たくて気持ちいい…」
悠馬は横になって芽依子の手を握る。
「はやくよくなってね」
芽依子は握られていない手で悠馬の髪をなでた。悠馬はうれしかったのか、少し口角を上げて目を閉じた。少しなでていると、スースーと寝息が聞こえてきた。
握っていた手は緩くなっていて、そっと離した。
とりあえず買ってきたものを冷蔵庫に入れた。そして悠馬が起きたときに食べれるようにおかゆを作っておく。
もう一度悠馬の部屋に戻り、様子を見る。熱はあまり下がってないが、寝苦しくはなさそうだ。
そろそろ帰ろうと思ったとき、ふとあるものが目に入ってきた。