何度だって咲かせよう(仮)
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新学期初日の朝。芽依子は、あれだけ無視して避けてきたのだ、悠馬はいないだろうと思い家を出た。しかし、悠馬はいつも通り家の前で待っていた。顔の表情は少し固い気がする。まだ芽依子が家を出たことに気づいていないようだった。
「…おはよう」
さすがに無視するわけにもいかず、声をかける。
悠馬はハッとこちらを見、いつものように笑う。
「はよ、具合大丈夫なの?」
「…うん、もう大丈夫そう。いつも来てくれてたんでしょう?ありがとう」
「当たり前だろ、うつしたの俺だし。ほら、行くぞ」
悠馬はいつものように手を取り、いつものように道路側を歩く。
あれだけ悠馬のことで涙を流したのに結局隣に立つと好きだという感情がムクムクと顔を出す。芽依子は気持ちをコントロールできない自分に泣きたくなった。