何度だって咲かせよう(仮)
「桜田悠馬です。よろしく」
「じゃあ桜田はあそこの席に座ってくれ。今日の連絡はー…」
そのあとの担任の話は聞こえなかった。気づいたら休み時間になっていて、京香に話しかけられていた。
「芽依子〜、ぼーっとしてどうしたの?」
「ん?あー、なんでもない」
「てか、転校生!本当にイケメンだよね!」
芽依子は女の子たちに囲まれてる彼に視線を向ける。鬱陶しそうに適当にあっしらっている彼。すると、彼と目が合い、見ていたことがバレるのが嫌でバッと顔を戻す。自分でも顔が火照ってるのがわかる。
「え、芽依子…?」
「あ、いや…てか京香、そんなにイケメンイケメン連呼してたら中村くん怒るんじゃない?」
「司はそんなことじゃ怒んないよ〜たぶん、俺のほうがイケメンだって言うし!」
「言いそう…」
この司とは、中村司、京香の彼氏である。
「それはそうと、あのイケメンとなんかあった?」
(うっ、触れられたくないところを突かれた…)
しかし芽依子はこういった類の話題が京香の追求から逃れられないことをわかっているため、今朝の出来事を簡単に話した。
「ふーん、なるほどね。芽依子はあのイケメンに恋しちゃったわけか」
「っーーー!違う!違うから!!」
「これでやっと芽依子の恋バナが聞ける!」
テンションの上がっている京香を無視して再度悠馬を見ると、司と楽しそうに話していた。
京香は芽依子の様子を伺っていた。そして、司と悠馬が打ち解けた雰囲気を見て、あることを思いつく。