何度だって咲かせよう(仮)
いつもと同じ道をいつものように歩き、いつもと変わらぬ視線をあびる。何一つ変わらない。変わったことは大きな好きに少しの不安が入り混じった自分の気持ちだけ。
芽依子は悠馬が写真を見たことに気づいてないのだと思った。
「今日、クラス替えだな」
「そうだね…同じクラスになれるかな?」
「なってくれなきゃ困る。修学旅行だってあるんだし」
あまりにストレートな物言いの悠馬に驚いた。でも高校二年は一番行事に打ち込める年。高校生活に慣れない一年と受験や進路に追われる三年とは違う。同じクラスになれれば思い出もたくさん作れるはずだ。
芽依子は悠馬の手を強く握った。
昇降口の前の掲示板には新しいクラスが張り出されていて、みんながそれを見ようとごった返していた。
「一組から見ていこうよ」
「そうだな。そんなに前に行かなくても見えるか?」
「うん、大丈夫だよ」
165センチと、女にしては少し高めの身長の芽依子とそれに15センチくらい高い身長の悠馬は頭一つ分周りより出ていて、うしろからでも十分見える。