何度だって咲かせよう(仮)
結局、悠馬は二組だった。新しいクラスに向かう途中で京香と司に会い、二人も二組だと知った。
「大丈夫か?」
芽依子が人見知りだと知っている悠馬は新しいクラスに入る直前、声をかけてくれた。芽依子の背中を押すのに、それだけで十分だった。
「うん、大丈夫。高校生にもなって友達も作れないなんて恥ずかしいし」
強張った笑顔を見せながらも自立しようとする芽依子は雛鳥のようだ。
「おう、じゃあ帰り迎えにくるから」
「うん、また」
芽依子は手を振り、新しいクラスの扉を開いた。
「二人、なんかあった?」
自分もクラスに入ろうとすると司に声をかけられる。
「何かって?何もないけど」
「うーん、俺もうまく言えないんだけどさ、なんかこう芽依子ちゃん、たくましくなったよな」
「たくましく…まあ今、恥ずかしいなんて言うとは思わなかった」
「そうそう。前から依存するような子じゃなかったけど…悠馬と距離を置こうとしてる感じがした」
それは春休みから悠馬も感じていることだった。避けられていることもわかっていた。しかし理由がわからず、どうしようもなかった。
(まさか全て…?)
悠馬は芽依子とクラスが離れたことでさらに距離が遠くなったように、そしてそれはもう縮まなくなるのかもしれないという不安感に襲われた。