何度だって咲かせよう(仮)



昼休み。
普段、芽依子と京香は教室で過ごす。京香が司と過ごすときは、それなりに仲のいい女子グループに入れてもらっている。しかし今日は京香はお弁当を持ち、ついてくるように言った。どうやら別の場所で過ごすらしかった。

芽依子は廊下を歩いているとき、悠馬が “冬桜(とうおう)の王子” と呼ばれていることを聞いた。季節外れのイケメン転校生、そして名前が桜田であることから冬桜ということらしい。しかも、桜の花言葉には淡泊という意味があって、クールな彼にはぴったりだとクラスの女の子たちもきゃぴきゃぴ言っていた。


「ねえ、どこ行くの?」

「屋上だよ〜!」

「なんで?いつも通り教室でお弁当食べちゃだめなの?」

「それはヒミツ〜!着けばわかるから気にしなーい!!」

ウフフと微笑む京香を見て、芽依子は不安になった。

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