何度だって咲かせよう(仮)
「はい、じゃあ開けるよ〜!」
そう言いながら屋上の扉を開けると、そこには司と悠馬がいた。
頭の上にビックリマークとハテナマークが浮かんでいる芽依子を見て、京香は満足気だ。
「司、おまたせ〜!」
「おう!早く飯食おうぜ、藤田ちゃんも座って!」
言われるがまま、おずおずと座る芽依子。
悠馬は二人が入ってきた瞬間から芽依子だけを見ていた。いや、教室にいたときからずっとだ。司はそれに気づいていた。だから京香が司に昼食の提案に承諾したのだった。
初めは京香と司が話して盛り上げていたが、肝心の二人が全く話さない。しびれを切らした京香が悠馬に話しかける。
「桜田くん、今朝芽依子のこと助けてくれたんでしょ?ありがとうね!」
「いや、あんなの普通だよ…誰さんだっけ?」
「あ、まだ自己紹介してなかったよね!私、三浦京香!よろしくね〜」
「ちなみに俺の彼女。てか藤田ちゃんのこと助けたって何だよ!俺知らないんだけど!」
「司、うるさ〜い!それでこっちが…」
「藤田芽依子、です…朝はありがとう」
「おう、具合悪そうだったけど大丈夫か?」
「あ、うん…朝起きたら頭痛かっただけだから」
「え、芽依子、大丈夫?!」
「今は平気。朝の話だよ」
「それにしても、桜田くん朝から大変そうだったね〜クラスの女子に囲まれちゃって!」
「な〜!あの時の悠馬の顔、本当やばかったな〜!」
「でも桜田くんイケメンだからあんなのしょっちゅうなんじゃない?」
「え、京香それ言って…」
いいの?と続けようとすると司が食い気味に「俺のほうがイケメンだ!」と言ってきて、芽依子と京香は顔を合わせて笑ってしまった。しかし、そんなことは気にせず司は続ける。
「あんなに囲まれてるとよりどりみどりだな!あ、でももう彼女とかいるか〜!!」
少々空気の読めない司を京香は睨むがそんなものには気づかない。そして、悠馬は渋々答える。
「…彼女はいない」
「え?じゃあ、好きなやつとかいるの?」
チラリと芽依子を見て、悠馬は答える。
「ずっと、好きなやつがいる」