何度だって咲かせよう(仮)
開花

「芽依子は、桜田くんのことが好きってことでいいんだよね?」

「ゴホッ、何言ってるの突然」


季節は一つ過ぎ、寒さも深まってきたある日、芽依子は京香に連れられ、学校近くのカフェに来ていた。いつもだったら四人で帰るのに、珍しく二人で帰ろうと言われ、司とのことを相談したいのかなと考えていた芽依子にとって、この言葉は想定外だった。

「ね!どうなの?!」

「まあ、気になるけど…」

「けど?」

「桜田くん、好きな人がいるって言ってたし…」

(やっぱりそこか…でも私から見たら、桜田くんは芽依子のこと気にしてると思うんだけどな…)

「ねえ、芽依子。芽依子はさ、私が司のこと好きって言ったとき、なんて言ってくれたか覚えてる?」

「いや…」

「『例え相手に好きな人がいても彼女がいても、自分の気持ちを伝えないなんてもったいないよ。受け止めてくれるかはわからないけど、自分の気持ちに素直になるってすごく素敵なことだと思う』
私はこれ聞いて、司に伝えようって思った。たしかにすごく勇気のいることだよ?でも伝えなきゃ何も変わらない。もしダメなら私の胸でたくさん泣け!!!」

自分の胸をドンと叩き、腕を広げる京香を見て、芽依子は泣きそうになった。
自分のことをここまで考えてくれてる友達なんて、他にいない。

「…うん、ありがとう。京香!」


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