幽霊の影
ホームルームの後、私の周りに集まった友人たちが口々に「かわいそう」「大変だね」と慰めてくれた。
私の怒りの矛先は「気の毒だからかわりに私が委員長に……」とは決して言い出さない友人たちではなく、無記名アンケートに私の名前を書いた誰かでもなく
ひたすら幽霊の方に向いていた。
「絶対許さない!
みんな、今度から幽霊の事、徹底無視しよう。
絶対関わっちゃ駄目だから」
それがきっかけで、単に孤立していただけの幽霊は益々露骨に避けられ、大っぴらに悪口を言われるようになり、本人がそこにいようがいまいが「幽霊」というあだ名で呼ばれるようになった。
いい気味だ。
そのあだ名と彼女に対する扱いは、いつしかクラス全体・学年全体に広がり、中学でもその状況は続き、私とクラスが離れた後もどうせ同じ事だろう。
そして私はと言うと
そのクラス替えがあった中学2年の頃から看護師になりたいと考えるようになり、高校を卒業して看護学校に入り、めでたく資格を取得。
総合病院に勤務し、そこで知り合った5歳年上の外科医と結婚。
妊娠を機に退職、瑛梨奈を産んで現在に至っている。
私の怒りの矛先は「気の毒だからかわりに私が委員長に……」とは決して言い出さない友人たちではなく、無記名アンケートに私の名前を書いた誰かでもなく
ひたすら幽霊の方に向いていた。
「絶対許さない!
みんな、今度から幽霊の事、徹底無視しよう。
絶対関わっちゃ駄目だから」
それがきっかけで、単に孤立していただけの幽霊は益々露骨に避けられ、大っぴらに悪口を言われるようになり、本人がそこにいようがいまいが「幽霊」というあだ名で呼ばれるようになった。
いい気味だ。
そのあだ名と彼女に対する扱いは、いつしかクラス全体・学年全体に広がり、中学でもその状況は続き、私とクラスが離れた後もどうせ同じ事だろう。
そして私はと言うと
そのクラス替えがあった中学2年の頃から看護師になりたいと考えるようになり、高校を卒業して看護学校に入り、めでたく資格を取得。
総合病院に勤務し、そこで知り合った5歳年上の外科医と結婚。
妊娠を機に退職、瑛梨奈を産んで現在に至っている。