幽霊の影
瑛梨奈
テレビで幽霊の自殺を知ってから、数日が経った。



母娘2人での夕食後、自室で勉強している瑛梨奈のために、ロイヤルミルクティーを淹れていた。


夫はまだ帰らない。


外科医の夫が残業やら当直やらで夜、家にいないのはよくある事なので、私も瑛梨奈もそんな事にはすっかり慣れてしまっていた。



明日は日曜日だから、瑛梨奈は勉強が終わったら、友達とスマホでやり取りをしたり漫画を読んだりして、夜更かしをするつもりだろう。



親の私が言うのも何だが、よく出来た娘である。


天才肌でありながら努力家なところは父親に、はきはきとして可愛らしいところは母親の私に似た、と思っている。


同級生の女の子たちと比べても、やっぱり瑛梨奈の存在感は特別のような気がする。


かつての自分を見ているようでもある。
< 11 / 58 >

この作品をシェア

pagetop