幽霊の影
『……「その他大勢」の中には、単に気が強く声が大きいだけで自分が一番正しい、自分は特別だと勘違いする者が、小学校だろうが中学校だろうが、どこに行っても必ずいた。

私は行かなかったけど、どうせ高校や大学や会社にもいるんだろう。

残念だけど彼らもまた「その他大勢」に過ぎない。


私は大人しかったためか気弱な人間だと思われていたらしく、そこに付け込んで、私に対して威圧的な態度をとる者も少なくなかった。


でも、だからこそ私は、そういった者たちにはしっかりと意思表示をした。

気が強いだけ・声が大きいだけの者には、絶対に負けなかった。

なぜなら私の方が、大人しいけれど常に冷静で論理的で正しかったから。


例えば――小学生の時、学級委員長に推薦された事がある。

推薦人は、さっき述べた「残念なその他大勢」を絵に描いたような、1人の女子児童であった。……』



――私の事?


学習机の椅子に掛けて、本の上にかがみ込む。


喉の渇きを覚え、ごくりと唾を飲んだ。
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