幽霊の影
自分の馬鹿さ加減に、体中から力が抜けた。


そこが交通量の多い道端でなかったら、私は地面にへたり込んでいただろう。



ただし、自分のスマホは家に置いて来てしまっている。



私1人でやみくもに瑛梨奈を探し回ったって、どうせ埒が明かないのだから

一旦帰って瑛梨奈に連絡を取ってみて、これからどうするかは、その結果次第でいいのではないか。



もはや走る体力は無かったが、私は気力を振り絞って、出来るだけ急いで自宅へと引き返した。




マンションのエレベーター前に、一目でそうとわかる高級ランドセルの後ろ姿があった。



「瑛梨奈!」


「……ママ」



息を切らして駆け寄る私の様子を、瑛梨奈は不思議そうに見つめて言った。


「どうしたの?そんなに慌てて。

上着も着ないで」


「瑛梨奈……今、帰って来たの?」


「そうだけど。


ねぇ、何かあったの?」
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