幽霊の影
2人でエレベーターに乗り込むと、私は呼吸を落ち着けて、例の友達について尋ねてみた。


「さっき一緒に歩いてた子、誰?」


「さっき?」

と言って、瑛梨奈は首をかしげた。


「私、今日は1人で帰って来たけど」


「えっ?友達と一緒じゃなかったの?

赤いランドセル背負った、髪の長い子」


「そんな子、知らない……。


ママ、お昼寝して夢でも見た?」


「お昼寝なんかしてないわよ」



夢?まさか。



あの光景は私が窓辺に立ったまま居眠りして見た、白昼夢だと言うのか――



「ママ」


エレベーターの外で、瑛梨奈がドアを手で押さえながらこちらを見ていた。


「着いたよ。


どうしちゃったの?本当に」
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