幽霊の影
1日中、夫と娘の事に気を揉み続け、ひと時も心が休まらない――

この生活は、一体何なのだ。



ベッドに倒れ込み、朦朧とした頭を枕にうずめ、私は考えた。


なぜ私は、こんなに追い詰められているのだろう。


一体何が……



答えはわかっている。



幽霊――



その名前を、生気の無い顔を、黒々と重苦しい長い髪を思い浮かべたとき、私の頭に妙な推測が閃いた。



幽霊の怨霊が

私に復讐しようとしている?



……いやいやいや、まさか。怨霊なんて。


ついにストレスで頭がおかしくなったかと、私は1人で苦笑した。



でも。


ここ数日の間に

夫と夜の繁華街を歩く女の後ろ姿、幽霊の著作に没頭する娘、悪夢――


幽霊絡みの出来事が、これだけ重なっているとなると……
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