幽霊の影
瑛梨奈がどんな思いで毎日を過ごしていたか

どんな思いで幽霊の本を読み、そこに救いを求めていたか

私は正確に想像し理解する事が、出来ているだろうか。



そして、瑛梨奈を慰め続けた幽霊の本について私が言い放った言葉が、限界まで追い詰められた彼女の心に、どんなに残酷に響いたか……。



娘は様々な人間によってズタズタに傷付けられてきたが、最後の引き金を引いたのは


間違いなく、私。



本当に、何という事をしてしまったのだろう。


何と愚かで最低で、悪魔のような母親だっただろう。



娘の葬儀の間ずっと、そんな自問と自責が頭の中を巡り続けた。
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