幽霊の影
はい!と挙手をして、私はもう一度幽霊の方を一瞥し、先程よりもやや口調を強めて言った。


「初めから何でも出来ないと決め付けるのは良くないと思います。

消極的だからこそ、それを改善する努力をするべきじゃないんですか?」



これくらい威圧しておけば、幽霊はもう何も言い返せないだろう。


威圧感だけじゃない。


我ながら、非の打ち所の無い素晴らしい正論だったと思う。


担任教師も

「今の意見も一理あると思うけど……

どう?学級委員長やってみない?」

と言っている。


これで決まりだ。



そう思ってほくそ笑んだとき、

「先生」

再び幽霊が、消え入るような声でこう言った。


「私が努力したところで、結果は知れていると思います。


私にはクラスをまとめ上げる自信なんてありません。

学級委員長に統率力が無いと、結果的にみんなが困ります。

私は、そんな事でみんなに迷惑を掛けたくありません。


そのかわり、私は飼育係に立候補していますが、飼育係の仕事なら、汚い作業も嫌がらずに出来ます」
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