オニゴロシ


後ろから聞こえた声に反応して、

私は思い切り振り返った。


片手に赤く光っているナイフを持ちながら、

呆然と立っている人。


「桃‥‥ちゃん‥‥‥?」


そこに立っていたのは、

クラスでもおとなしめのグループで

大谷 真依〈オオタニマイ〉さんと仲の良い、

宮野 桃〈ミヤノモモ〉さんだったのだ―――‥‥。


「あは‥‥あはは‥‥‥」


宮野さんが俯き加減で少し笑いを漏らした。


―――‥‥次の瞬間‥‥‥


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