微笑んだ先に咲く花





「じゃあちょっと待ってて…あれ」



奥へ行こうとしていたのに私の顔をじっと見て首を傾げている



え、会ったことあるのかな
でも会ったことあるなら覚えてるはずだし…



「あの…どこかでお会いしましたか?」






聞いても答えてくれずに、じっと私の顔を見てから目線を下にさげた


同じように下げるとそこにはペンダント



「…持ってるのか…」



もう一度お兄さんを見ると手を伸ばしてペンダントに触れてきた



「あの…」


カチッ


「…!!」



お兄さんはペンダントを触っていた


この人とは初めて会ったのに



「何でペンダント開けれるんですか…」



このペンダントは中に写真が入っている
仁くんが私のために入れてくれた


見た目は普通のペンダントで、誰も開けれるなんて思わない感じなのに




「…なんで…」


「ごめんね、気になっただけだよ

…きっと迎えに来てくれるよ」



え…

ニコッとして奥へ入って行ってしまった







「おい、今のなんだよ」


隣から有さんが不思議そうに言う



「いえ…それよりも、私今日、クラスの子に話しかけてみようと思うんです」



昨日聞いた話が本当なら…



「いいんじゃねぇか?」


「…何て声かければ…」


自慢じゃないけど、家族なんていないから友達と喋らなきゃ1日話さないこともある


…友達がいないからな



「そんなん普通に挨拶でいいだろ?」


「おはようみたいなですか?」


「教室入って皆におはようって言えよ」


「この間まで何にも話さなかった子が…」


「んなの気にしねぇよ」



実は昨日からこのことばかり考えてた

何を話せばいいのか、キッカケがない


「じゃあ、もし、もしですよ?」


「なんだよ」


有さんの額に皺がよる


「もし、友達できなくて、空回りばっかして、1人で帰るの嫌なので迎えに来てください!」



ダメかな…有さんも仕事あるし
だからといって1人も嫌だ


お願いします!と有さんの目の前で手を合わせる



「はぁ…わかったよ。その代わり、チャレンジはすることが条件」


挨拶しろよ?
バッと顔を上げると有さんと目が合う



「…ありがとう!!有さん!」



これで大丈夫
有さんと帰れると思って頑張れる




「はーい、フレンチトーストできたよ。って、2人して何笑い合ってるの?」
























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