微笑んだ先に咲く花





奥から美味しそうな匂いのするお皿を持ってお兄さんが出てきた



「いい匂い…」


「ありがと、俺の得意料理」



少し自慢げにそう言う




「いただきます」


手を合わせてからナイフとフォークで切って一口食べる







「…ん!美味しい!美味しいです!」


「フフッ…ありがと」


「おい、俺コーヒー」


「有も冷めないうちに食べなよ」


「はいはい、コーヒー」


「今やるって」



「…二人とも仲いいんですね、」


「あ?あーそうでもねぇよ」


2人の会話は夫婦漫才みたい


「お兄さんの名前なんていうんですか?」


コーヒーを煎れてるお兄さんに聞こえないように有さんに聞く



「あいつは孝、何でか前から仲いいんだよな」



「なになに?2人して何の話?」


「うるせぇな、たいしたことじゃねぇよ」


「また有はそんな事言って」




漫才みたいな2人の会話に笑いが止まりませんでした






「そろそろ学校行くぞ」



この言葉でびっくりするほど冷静になったけど






「…やっぱり行きますよね」



私は有さんに引きずられてバーを出た


車に乗ってる間は何を話したのかもわからないくらい緊張した














「ほい、行ってこい」


「有さん…やっぱり」


「迎えにくるからな、絶対来るから」


「…はい」





門から少し離れたところに車を止めてくれて歩いて学校へ向かう


心臓はもちろんバクバクで




教室の前に来ても足が動かない
自分から挨拶なんて…


小さく言えばいい、かな?



ガラガラッ



クラスはいつもと変わらず賑やかなまま

これなら挨拶しても聞こえない



「…ぉはよう…ござ、います」




















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