微笑んだ先に咲く花
私は深呼吸をしてから今までの全てを話し出した
「初めてお兄ちゃんに会ったとき、たぶん一目惚れだったんだ。
まだまだ子供だったけどお兄ちゃんのこと考えるとドキドキして…
好きだって分かったんだ
でも言えなかった。
虐待されて体はボロボロで、お兄ちゃんは私よりもずっと大人で…
隣にいてくれるだけで良かった
話しかけてくれるだけで良かったんだ
虐待だってさ、私は1人じゃないって
お母さんもお兄ちゃんもいるんだって
それだけが私の生きる希望だった
…お母さんが死んじゃってからはお兄ちゃんしかいなかった
でもそんなお兄ちゃんもいなくなっちゃって。正直…捨てられたって思った
けど、私が悪かったんだって
お兄ちゃんを好きになったから、心の痛みも何倍にもなった
毎日毎日泣いて暮らした
夢に出てくるのは笑顔のお兄ちゃんで
大丈夫って言ってくれる優しい声で
その思い出だけを頼りに生きてきた
いつかお兄ちゃんに会えたら、好きって言おうって
だからなんでも頑張れたよ?
倒れるまで働いたこともあるし、身体を売ろうとも考えた
それはできなかったけど…
綺麗なままでお兄ちゃんに会うまではしないって
まぁ…そうは言っても孤独との戦いだったよ
唯一、あのネオン街だけが安心する場所だった
誰からも否定されない場所
そこでお兄ちゃんを見つけて、
衝撃的だった…7年も経ってるのに一瞬でわかった
でも、それと同時に不安だった
お兄ちゃんは私といるのが嫌で出て行ったんだって
私が現れたら迷惑だろうなって
結局今ここにいるけど…
私はね?お兄ちゃん
会えただけで嬉しいんだよ
それがまた生きる励みになっていくと思うから
やっぱりあの家に戻るね
あそこから離れちゃいけないの
いつか、迎えに来てくれる」