微笑んだ先に咲く花
さっきまでの優しい口調からいきなり鋭くなって新庄さんをミラー越しに見ている
「…空…」
空を宥めるために手を握る
「私は空がいてくれれば何でもデートみたいに感じるよ?昔から」
昔は、よく「お兄ちゃん」と公園へ遊びに行った
お母さんと3人の時よりもお兄ちゃんと2人の方がずっと楽しくて、ドキドキして
「今日のデート楽しもうね、空」
名前を呼ぶことなんて許されなかった昔と違って、今は私の隣にいて、手を繋いで、空って呼べる
「そうだな、慎」
そして呼べば笑顔で応えてくれる
それだけで私の心はポカポカするんだ
「着きましたよ」