Cherry


そう言って
悠斗は大きな手で頭を撫でて
涙を拭ってくれた


「あと、冷えピタ新しいのに変えておくよ
美優、吸引頑張ったからごほうび何がいい?」


「退院……したい」

いつもの優しい悠斗に戻ったけど
病院なんて…もう嫌だよ…
辛いし怖い

こんなこと言っても困らせるだけなのに
言ってしまった


「それは、ダメだな
でも、肺炎が治ったら1日だけ
どこかに行こうな
そのあと治療が始まるけど…」


「…グスン 嫌…
また治療なんて無理
退院したいの…」


「大丈夫だから
今は治療のこと忘れて肺炎治そうな
美優のことは俺が守るから
最後まで逃げないで頑張ろう」


退院って言葉が聞けるまでずっと
治療の恐怖に怯えていないといけない
なんて辛すぎるよ…


治療してないときだって
思い出すだけで副作用が怖い

この日は悠斗に抱きしめられたまま
体力がつきて寝てしまった



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