夏休み
「あの“夢”の中でフラれた彼のこと言ってんの?」
「…知っていたのか」
「うん。
てかあたしたち、同じ夢見ていたんだね?」
「……みたいだな」
クスッと笑うアイツに笑い返す。
だけどアイツは大真面目な顔を向けてきた。
…正直彼には及ばない顔立ちをしている。
だけど真っ直ぐな瞳は負けていない。
「俺…夢ン中でお前にぶっ叩かれて…気が付いた」
「何を?」
「…今まで冷たい態度とか、お前を馬鹿にするような態度取って来たけど」
「うん」
「……俺、お前を誰かに取られたくないって思った」
「…………」
「…お前には前と同じようにこれからも、俺の傍にいてほしい。
俺の…彼女に…いや…違う」
「違うの?」
「彼女どまりじゃ駄目だ…。
いつか俺の…味噌汁を作る女になってくれないか?」