夏休み
「もしかして失恋でもした?」
笑うのを止めて聞いてくる幼馴染の馬鹿。
その目には笑いすぎたのか涙が光っていた。
…馬鹿にしやがって。
「まぁお前が失恋するわけないか。
恋する相手がいなそーだし?」
「……ッ!」
あたしはカッとなってソイツの頬をぶっ叩いた。
蝉の大合唱よりも大きな音が響いた。
「馬鹿にしないでよ!
あたしにだって好きな人いるし!
あんたなんかと一緒にしないで!!」
あたしは勢い良く自宅の扉を閉めた。
そして2階の自室へ向かって布団を被った。
暑さなんて気にしていなかった。