夏休み
――――――
「ちょっと!
いつまで寝ているのよあんた。
今日から学校でしょ?」
あたしは重たい瞼を開けた。
…朝だ。
窓から眩しい太陽の光が入ってくる。
「今日始業式なんでしょ?
早く行かないと遅刻になるわよ?」
「…わかったぁ~」
あたしは布団をはぎ取ってパジャマ姿のままリビングへ行って
軽い朝食を取って身支度を済ませる。
夏には気持ち良くて冬には困る冷水で顔を洗っていると、気が付いた。
…あたしは
彼の名前を知らなかった。
大好きな、彼の名前を。
「……そうだったんだ」
今ならわかる。
彼の名前を。
オレンジジュースをくれた彼の名前を。