お隣さんのキケンな誘惑
時間になるとマンションを出てタクシーに乗り、指定された居酒屋まで向った。
指定された居酒屋は会社からも少し離れていて、てっきり会社の近くだと思っていた。
だけど私のマンションからタクシーにのって10分程で、私も何度か友達と行った事のある居酒屋だった。
居酒屋の前でタクシーを降りると、伊崎主任が外で待っていた。
「お疲れ様です!お待たせしました。」
「俺もさっき来た所だよ!さっ、入ろうか。」
「はい」
二人で中へ入りテーブルに座った。
お酒と食べ物を注文して乾杯した。
「何だか黒崎さんの私服姿は初めて見たけど雰囲気も違うしいつもは可愛いけど、今日は綺麗だなって思ったよ。」
「そんなお世辞はいいですから!
だけどお世辞でも嬉しいです。」
「お世辞じゃなく本心だよ?」
そう言われると照れてしまって上手く言葉が出なかったが「ありがとうございます」とだけ返事をした。
それから普通に仕事の話だったりとか、休みの日は何をしてるとか話をした。
「そう言えば伊崎主任の年齢を聞いてもいいですか?」
「俺は今年で30だよ。
アラサーの仲間入りだな。」
「全然若く見えますよ!私は26歳くらいかと思ってました。」
「そう言ってくれて嬉しいよ!所で黒崎さんは彼氏は居るの?」
「彼氏は今は居ません…」
「へぇー意外だね?俺も"彼女"は居ないけどね。」
"彼女"を強く強調して言ったがこの時は気にしていなかった。
暫く二人で飲んで居酒屋を出た。
「今日はご馳走様でした!お金まで出してもらってありがとうございます。」
「俺が誘ったんだし、女の子にはお金を出させられないよ!
また今度、一緒に飲みに行かない?」
「えっ?は、はい」
「じゃあタクシー乗り場まで送るよ!」
そう言ってこの日はタクシー乗り場で伊崎主任と別れた後、自分のマンションに帰った。