お隣さんのキケンな誘惑
「まさかと思いますけど…」
「一緒に見るに決まってんだろ?
俺だけ帰らせて一人だけ見るなんてズルイぞ!」
「だって私が見たくて借りたんですし…」
「いいだろ?さっ、見ようぜ!」
仕方なく私は久藤さんとホラー映画を見ることにした。
だけど見だしたら画面に集中してさっきまでの苛立ちは消えていた。
✱✱✱
男の人がナイフで何度も女の人を刺し、女の人が死ぬのを確認すると、男の人はお腹を切り裂いて内蔵を素手で取り出した。
内蔵をグチャグチャに握り潰して男の人は笑っていた。
今度は女の人の目玉を取り出すとそれを庭に埋めた。
「僕は君を愛してる…君がアイツに取られると思うと悔しくて憎くて…
どうせ手に入らないなら君の全てを奪って手に入れたかったんだ。
綺麗だよとても…血塗れでこんな酷い姿でも僕は君を愛してるんだ。
それに君の目玉を庭に埋めておいたよ。
それは僕だけしか知らない秘密なんだよ?
クックックッ…アハハハハッ!」
彼は狂ったように笑い出して自らの体にナイフを刺して彼女の手を握り死んだ。
内容的に始まりはグロかった。
だけどこれは恐怖のはじまりでしかなかったんだ…。
物語が進んでいくと、彼女が殺された家は廃墟になり、何も知らない高校生の男女が廃墟の家に入り込んだ。
そこから殺された彼女の呪いが皆にかけられると言う話だった。
ラストは庭に埋められた目玉を探しだして解決した話だったが驚かされる場面がいくつもあり、その度に体がビクッとなってしまった。
よくあるような設定の話だったが、殺した男性は異常な程に殺した彼女を愛していた。
そして彼女にも愛する人が居たが殺されてしまった。
未練が残ったままの死…
最後まで見ると悲しくもなった。
ホラー映画も終わり、私は缶ビールをまた冷蔵庫から取り出して久藤さんにも渡した。