お隣さんのキケンな誘惑



とにかく自分を落ち着かせてトイレを出た後に営業部に行き、用事を済ませて直ぐに総務まで戻った。


伊崎主任の方は見れなくて、その日は仕事に集中出来なかった。


仕事が終わると私は電車に乗った。
窓をぼんやり眺めながら今日の会話が頭を過る。
自分のマンションに帰ってきても、気力がでずにボーッとしていた。


ピンポーン


どれくらい時間が経ったのか、インターフォンの音がしてハッとした。


玄関の扉を開けると伊崎主任が立っていて、いつものように「ただいま」と言った。


「おか、えりなさい…」


「どうした?なんかあったか?」


なんて言いながらいつものように靴を脱いで中へと入っていく伊崎主任。


私は伊崎主任の後を追ってリビングに向った。


「伊崎さん、結婚してるって本当ですか?」


「えっ…誰に聞いた?」


「聞こえたんです、喫煙室で原田部長と伊崎さんの話してる会話が…」


私がそう言うと伊崎主任は暫く黙ってしまった。
その時点で結婚してるんだと確信した私は騙されたんだと思い涙が溢れた。





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