お隣さんのキケンな誘惑
私がソファでビールを飲んでると、食べ終わった久藤さんがビールを持って私の左隣に座った。
久藤さんが左手にビールを持ち、右腕を私の肩の真後ろに置いた。
何だか私は肩を久藤さんに抱かれてる感覚になってしまい、ビールを飲んでるのに味がしなかった。
「なぁメー?」
「な、何ですか?」
「土曜日って仕事?」
「土曜日は休みです!」
「じゃあさ、俺も休みだから何処か出かけないか?昨日は色々と嫌な思いもしたし、パーっと出かけて楽しもうぜ?」
久藤さんは何処まで優しいんだろ…。
きっとまだ私が落ち込んでるんだと思ってそう言ってくれてるんだよね。
「ありがとうございます!だけどもう落ち込んだりしてませんから大丈夫ですよ?」
「無理すんなよ!まだメーの様子が変だって事くらいは俺にだって分かるし、兎に角、土曜日は出かけようぜ!」
そう言って私の肩を軽くポンポンと久藤さんは叩いた。
た、頼むから私に触れないでっ!
そうじゃなくてもドキドキしすぎて心臓に悪いんだから!
私が無言でいると、急に久藤さんが私の顔を覗きこんできた。
「おーい!聞いてんの?」
「うわぁっ!!」
急に久藤さんの顔が近くにあってビックリした私は右側に避けた。
だけど久藤さんは私の反応が面白かったのか、持っていたビールをテーブルに置いて、更に私に顔を近づけてきた。
えっ!えっー!どうして近づいてくんの?
私は遂に後ろに倒れてしまい、久藤さんの体は私に覆い被さるような形になってしまった。
久藤さんは冗談でしているつもりかもしれないけど、私は見つめられるだけでドキドキして、このまま久藤さんにキスされたいかも…なんて思ってしまう。
ドキドキと高なる心臓、私を見つめる綺麗な瞳。
久藤さん!好きっ!
口に出して言えないけど私は心の中でそう言った。
「誘ってんの?
そんなに見つめられると本当にキスしちゃうよ?」
誘ってるのは久藤さんの方でしょ?
色っぽい声が私を誘惑する。
「ははっ!本当にメーって可愛いよな?」
「ほ、本当に久藤さんはからかうの好きですよね?」
「メー限定だけどな!何故かメーを見てると可愛くて苛めたくなんの!
さっ!明日も仕事だし俺は帰るよ!
飯、旨かった!ありがとな。」
そう言って私の頭を撫でて久藤さんは帰っていった。
いつもなら言い返したりしちゃうけど、そんな久藤さんすらも好きって思ってしまう。
それに私限定とか言われると勘違いしちゃいますから!
私はお風呂から上がると、明日の夕食の献立を考えて眠りに就いた。