お隣さんのキケンな誘惑




「でね!スーパーでは本当に子供みたいにはしゃいじゃってさ、だけどそんな久藤さんも可愛くて好きなんだよね〜」


「うんうん!さっきも聞いたよその話は…」


「にしてもさ、姪っ子のミサちゃんとの電話ではデレデレしちゃってさ…
告白しようと思ったのに出来なかった!」


「うんうん!それもさっき聞いたよ?
そんなに好きなら今日でも告白したら?
お酒もだいぶ飲んでるけど、勢い借りたら好きだってちゃんと言えるんじゃない?」


「よしっ!決めた!私、告白します!」


そう言ってまたビールを一気に飲み干した。
飲み過ぎたのは分かってるけど、智子の言うように、お酒の力を借りたらちゃんと好きだって言える気がする。


二人で会計を済ませて居酒屋を出て、智子の彼氏が車で迎えにきてくれたから、私も家まで送ってもらった。


マンションの前に着くと、車を降りてお礼を言って私は少しフラつきながらマンションの中へと入って行った。


エレベーターに乗り、酔ってる自分に気合を入れて、エレベーターの扉が開くと久藤さんの部屋を目掛けて歩いてる時だった。


久藤さんの部屋の前に人が居て、よく見ると久藤さんと女の人が立っていた。


すると女の人は久藤さんにいきなりキスをして、私は持っていた鞄を落としてしまった。


ビックリしたのか二人は私の方を見た。


私は急いで鞄を拾うと、二人の顔を見ずに自分の家の中に逃げるようにして入った。


告白するつもりが、キスしてるの見ちゃうなんて…。


私は涙が溢れて、声を押し殺して泣いた。


あの女の人は私なんかよりも美人でスタイルも良かった。


久藤さんはモテるし、あんな美人な人に好きだって言われたら断る理由もないよね。


智子に言われてもしかしたら久藤さんが私を好きなのかもしれないと思ってしまってさっきまでは告白する気でいたけど、告白する前に私の恋は終わってしまったんだ…。




< 73 / 121 >

この作品をシェア

pagetop